世間デザインする町家のオフィス
ma.ba.lab(まばらぼ)

ここは富山県射水市の新湊地区のなかでも、とくに昔から漁師を営む家が多かった奈呉町。かつては漁師の家で、以前は米の小売業を営んでいた商店兼住宅だった町家が空き家になっていました。まちづくりとデザインの会社、ワールドリー・デザインはこの築80年の空き家を譲り受け、町家のオフィスとしてリノベーションすることを計画。建物屋号の「ma.ba.lab.」の語源「疎(まばら)」は適度にスカスカしていることで間や場に意識が集中して、面白い発想が生まれることを期待した名前だそうです。弊社GNLもこのオフィスをシェアさせてもらっています。

photo:玄関ホールにあるミーティングスペース

空き家を購入した時点では、建物の入り口はアルミサッシの引戸に入れ替えられており、土間の空間は駐車場として利用されていました。せっかくであれば伝統的な意匠を復活させたいというオーナーの希望により、ちょうど同じ通りに現存していた「さまのこ(木製格子戸)」の意匠を模範に、モダンなテイストを加えたデザインにしました。

photo:大戸のガラスから見た通り土間

かつては存在していたと思われる、通り土間を復活させました。この長い通路は外からでもガラス越しに見えるようになっています。内川沿いの町家の多くは、表通りは住居の玄関として、川側は漁船との連絡口として使われていたようです。表通りから川までは約40m、本当に細長い町家なのです。

photo:中庭周辺を土間の高さにそろえた空間に

細長い造りの町家にとって、中庭は貴重な採光スポットとなります。メンテナンス性を考慮して、中庭の植栽面積をひと回り小さくしました。空間を広々と見せるために建物内部と中庭には同じ素材であるコンクリートブロックを敷き、木製枠の大きなガラス戸で仕切りました。もともと台所があった場所であることから、オフィスとしては十分すぎる機能のキッチンを設置。大きな花梨(かりん)のテーブルは、スタッフの皆さんの憩いの場となっています。

photo:多目的に使われる吹抜けの空間

ここは土蔵を覆う建物の一部になります。以前の所有者が隣り合う町家を買い足し、建物をつなげて出来た広々した空間です。買い足した町家が細い路地に面していることにより、外から出入り可能な勝手口をつくることができました。この間取りを活かして、雑貨などのショップやワークショップの場所として利用されています。コンクリートの床には、解体によって出てきた建材をデザインとして埋め込んでいます。

photo:2棟の建物がつながった空間の2階

この場所は「秘密基地」をイメージしてデザインした空間です。昔の梁や柱は露出したままに、昭和時代にリフォームした土壁は表面を掻いたままの仕上げに。手すりや柵は、建築躯体で使われる異形鉄筋に塗装をして利用し、どこか未完成な印象を与えることを意図してデザインしています。集魚灯の明かりが、より「秘密基地」感の演出を手伝っています。ちなみにワールドリー・デザインは、スタッフ全員が女性という富山県内でも珍しいデザイン会社です。

  • ADDRESS:富山県射水市放生津町19-1
  • WORK:総合プロデュース・空間デザイン・インテリアデザイン
  • Owner:株式会社ワールドリー・デザイン
  • web siteマチザイノミチ